2008年12月号
脳天気 農文化
発行;庭しんぶん
庭プレス社
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081228 シリーズ農字 13「苦」
 くさかんむりに音を示す「古(コ→ク)」(きゅっとひきしめる)を合わせて、かむと思わず口がかたくこわばるほどのにがい草「にがな」をあらわす。そこから「くるしい」に使う。と、辞書。

 ガザ・ジェノサイドの至近に居合わせてしまった、と友人がヨルダンから電話してきたところである。
 背後は物音で気ぜわしく、彼の声は震えていた。ヨルダン人の7割がパレスチナ人、みんな泣いてます、という。「なんでまた今」と陳腐な返事を返すに「選挙(イスラエルの)。パレスチナ人を殺戮すると人気が得られる。現政権が押され気味だから、ここいらでいっちょう、ってなわけでしょう。」「イスラエルなんて米国のひとつの州みたいなもんだからね、言い訳(殺戮の)なんかウソだらけだし、抵抗があるといったって破格の武器を持っているものの一人勝ちなわけで。」

 「トンネル山のこのごろはどうですか?」の問いに、...返す言葉が見つからない。

 親方がかわって(ブッシュ→オバマ)条件が変わる前に、と新聞の解説者。伝えられる諸外国の対応と言われるものもけんか両成敗みたいなぼやーっとしたものだ。パレスチナ側が無茶するからイスラエルに叩かれても仕方がない、ただちょっと叩き方はひどい、みたいな。
 少なくともこの侵略と抵抗という構図、と単純化することはばかげているかもしれない。が、列強(支配)の利益にはオオカミが必要とされているのであって、だからオオカミ(と定義されてしまった人々)は抵抗を余儀なくされるのだ。支配側の上手な和平(平和ではなく!)というものはだからそおっとオオカミを踏んづけとくことに他ならない。
 まずはその足をどけろよ、ということである。まずは。

(ナガタ・ま)

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