2010年05月号
脳天気 農文化
発行;庭しんぶん
庭プレス社
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100528 シリーズ農字 23「薦」
 推薦の薦。
 上部くさかんむりと、下部、音を示す「ち(くさかんむりのないこの字)」(鹿に似た動物)とを合わせて、草食動物の食べる草をあらわし、この字を借りるかたちで「そろえて差し出す」「すすめる」に使う、とある。
 鹿に似た動物って何だろう。
 中国の麒麟伝説?と思ったけれど、あれは鹿よりかなりおデブという印象。それともトロくて人に食われ、絶滅でもした種があったんだろうか?アフリカのサバナでライオンに食われちゃう映像などで有名?なインパラみたいな種が東洋にもいたということか?

 草を食べる動物でもっともポピュラーなのは牛。

 口蹄疫騒ぎでである。相当な殺戮が行われている(殺処分...恐ろしい)。牛2万頭弱、豚が13万頭弱(5/25段階)。かわいそうだが仕方がない、のだろうか?
 それはきっと牛をはじめとする、人に有益な動物(ひいては人じしんも)がおかれている現代のキョーフの環境を指し示しているのだろうと思う。
 これを機に畜肉を退けるベジタリアンが増えているかもしれない。それで済めばそれでもよい。少なくともキョーフに荷担することはない。
 自分でも年齢のせいだとは思うけれど、肉類の摂取は減っている。でも別に忌避していない。美味しいと思って食べるが、既にどこで飼っているかわかるものしか手に入れない。

 「いま何やってるの?」と知り合いの工事業者と世間話。
 「焼肉屋なんだ。もう○軒目なんだって。不況で軒並み飲食店が苦労しているらしいけれど、それとは違うらしいよ」
 「おいしい?」
 「うーん、まあ値段が値段だからね、こんなもんかと思えば結構イケるんじゃない?」「行く?」
 「.....」

 牛は草葉の陰で人を呪っているだろう。
 知り合いの獣医師によれば、「日本の法律では、健康な家畜しか食べない」となっているので、基本的には口蹄疫におかされた牛の肉を食べることはない」のだそうだ。健康...、すでにそれは密閉容器のなかの世界に近い、とわたしは思う。チョー限定的健康状態の中で牛は(も)さらに狂っていくだろう。

 参考までに;
 http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/FMD/sousetsu1997.html

 「薦」の意味のひとつは、推挙する、というように、人をある位置にとりたてる、ということがある。

 ハトヤマくんが辞めてしまった。辞めさせられた、というべきか。

 鬼の首をとった、みたいに大新聞などがはやしたてている。相当に違和感がある。
 政権が替わって以来、ほとんどのメディアは新政府に冷淡な対応だった、という印象である(まあ熱心にそれらにつきあっていないけれど)。特にそれ「以前」に比べて。
 あれを変える、これに取り組む、という新政府の方針にたいし、そんなことができるわけがない、みたいな言説を展開した。長かったジミントー政治にそれは培われたか、と思われるほど、「あれ」にも「これ」にもメディアがついて行けてない印象を持った。むしろ「あれ」や「これ」の進行を妨害し、旧態依然は正しい、みたいな論陣を張った。
 基地問題についても、ハトヤマくんが歴代はじめて?米国に注文をつけようとしたことにたいし、いっさい後押しすることなく「無謀な行動」などと袖を引いた。
 政治の表面的なチカラ構造ばかりを取りざたし、それはテレビのお笑い番組を思わせた。記事は読者に読んでもらわねばならない。そのためには何でもやる。みたいな恥ずかしいコピーが時おり目についた。さも正義の身代わりみたいに、だから「上から目線」で「こんなに頼りない」などと三文記事化するばかりでモンダイの本質に迫ろうとすることが少なかった、というよりも、避けた。
 交渉相手の米国にしてみれば、こんなに楽な展開はなかっただろう。飼い犬みたいなものたちが勝手に相手の退路を断つものだもの。勝負ははじめから自明だった。
 残念だったのは社民党の対応。「反対」ばかりの万年野党状態から脱皮できていない。政権の中にいてもそれしかないのか?とトホホであった。

 地方政治の、だから小さな話しであるのだけれど、飲み屋でひそひそ話が聞こえてきたことがあって、それは「センセー、しっかり」と諭す広告代理店の人らしかった。センセーは選挙をひかえていろいろあるらしかった。そっか広告代理店が選挙を指揮しているのか、という感慨を持った。まあ酔っぱらってるし「らしい」だけの正確とは言いがたい話しではあるけれど。
 大メディアには大メディアとして世に君臨している、という自負が強いんだろうな、ということを昨今の新聞などで感じる。
 お付き合いしかねる。
 が、言うことを聞かなければ「×処分」されることを考えておかねばならない。

(ナガタ・ま)

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