2007年05月号
にわにわにわ研
発行;庭しんぶん
庭プレス社
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070527 羊と羊飼いに会いに行く 
文・写真/mau 記者

 5月19日、羊と羊飼いOさんに会いに由仁町に行ってきました。由仁は札幌から1時間ちょっと、千歳の少し先にある町で、田んぼの多いところです。しとしとと雨の降るなか女5人でお邪魔してきました。

 牧場内に入ると牧羊犬たちがいて、Oさんが何か言うと吠え始めました。
 「何て言ったんですか?」
 「吠えろ。」
 …大きいですが賢い子たちのようです。Oさんは噂通り、羊飼いでありよき牧羊犬の使い手だった! 

 畜舎の中は真ん中の通路・作業スペースを境に左右に分かれておりそれぞれが約15m四方の大きさで、その中はほぼ仕切らずにオープンな作りでした。他の仲間との間に柵があると寂しがるのだそうです。左は去年生まれの親とその子供、右にその他の親子が各数十頭づつ。
 鳴き声は「メエ」じゃなくて「べえええええ」でした。ドスが利いている。一緒に行ったTさんによると英語では「baa」だとか。そういえば英語の歌でbaa baa blacksheepという歌がありますね。聴いたことはないけど。
 黒い羊と白い羊がいたのですが(多くが雑種)、子供が色の違う大人のおっぱいを飲んでいたので親を間違ったのかと思ったら、子は親を間違うことはないのでそれらは親子なのだそうです。父母の色が違ったのでしょう。必ずしも黒が優勢ではないとのこと。子供の半分の父親であるという種雄は白でした。
 今年生まれた羊はフリースでできたぬいぐるみみたいで、おっぱいを飲んでいる間中しっぽをふっていました。私が柵の中に入ると逃げるのと寄ってくるのがいて、後者は育児放棄などによるほ乳羊ちゃん。ミルクは羊用ミルクとのこと。見ていて不思議だったのですが子供がおっぱいを飲んでいる最中でも母親はあまり気にせずどこかに行ってしまったりするんですね。個体差はあるでしょうが、母性本能の低い動物なのでしょうか。

 たまたま羊毛を買いに来ていたお客さんがいて、毛刈りを見せてもらいました。まずベニヤで1坪の作業スペースを作ると、 羊飼いはフェルトの毛刈り靴に履き替えました。羊を押さえていろいろに動くのでゴム底の靴よりもいいのだそうです。
 刈ったのはジェイコブと黒ぶち羊の2頭。電気バリカンです。ジェイコブは角をひっつかんで引っ張ってきて倒し(そうか角があるって怖いと思っていたけど便利だなー)、お尻を床につけて座らせて動けないように足で固定しました。まず汚れた毛を取り除き、動かしながら(かつ足で固定しながら)お腹→おしり→首→背中の順にぐるっと1枚になるように刈って、また両面の汚れを取り除き、くるくるとまるめて袋の中へ。毛を刈る手よりも羊を「固定しながら」というのが気を使うところなのだとか。見ていたけどどこに気を使っているかを感じさせない動きで、このときここを押さえて、というこつはイマイチよくわかりませんでした。でもたぶんすごい技なのだと思う。
 黒ぶちは毛刈りに抗議したいのか、刈る前や最中に糞とおしっこをしていました。しかしそこはさすがプロの羊飼い、お客さんの羊毛を汚さないように丁寧に掃除をしながらうまいこと刈り終えました。どちらも体毛に黒が入った羊でしたが、黒い部分は皮膚も黒い。だから刈ってもぶちです。毛を刈られた羊はちょっと羊には見えません(写真5)。
 首すじの毛とお尻の毛では太さが違って、首のほうが繊維が細いし巻きも細かい。目的によって使い分けます。
 刈った後の羊の体に触れると手にぺったりと油がつきます。これがラノリン。化粧品などに使われる油(ろう)です。手についたラノリンを洗い流す時のぬるぬるした感じが印象に残っています。私は乾燥肌ですが、その後数日は割と手がしっとりしていた気がします。
 毛刈りをしながらOさんが話していたのですが、毛刈りをするときよく皮膚が切れます。それはもともと羊が補食される動物なので、捕まった時に皮膚だけちぎれて逃げられるように、切れやすくなっているものなのだということです。なるほど。

 調子に乗って「寝かせ方」を教わり、実際に柵の中の羊で試してみました。柵内に入ると羊がみんなこっちを見ます。イヌも飼ったことがない自分はまず羊に慣れるところから。しばらく動けませんでした。「そんなに簡単に捕まらないと思いますが」との言葉通り羊たちは逃げ足が早く、捕まえるまでに時間がかかりました。首根っこの毛をつかんでなんとか逃げないように押さえると(毛刈り後の羊はどうすればいいのだろう)、Oさんに教わった通り羊の右側に立って右手で口を固定し左手で羊の腰のあたりを軽く押さえて左側に首をぐるっとまわして倒そうとするのですが(右利きのやり方)、これが倒れてくれない。「もっと大きくまわすんです」っていうけど、そりゃ、言ってることはわかるけどー、できないんですっ。とかなんとか心の中で言いながら繰り返すこと数十回、黒い羊ちゃんを1頭なんとか倒して、ついでに前足をつかんで持ち上げお尻で座らせる「保定」までやってみました。おお、そうそうこのポーズ。これは嬉しかったですねえ。羊はあまり大きくないのがいいみたい。だいたい大きいと口に手が届きませんもの。雄も「やってみる?」と言われて試したけどびくともしませんでした。まったくびくとも。

 とまあこんな調子で、ぐったりして帰ってきました(私だけ?)。今回は羊に「慣れに」行ったのと、羊の飼育の本などを読んでいるとこれもやらなきゃあれもやらなきゃと焦るので「こんなものでいいんだ」という感じをつかむためでもあったのでした。行ってよかったです。
 Oさん、ご丁寧に教えてくださって、有難うございました!

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01雨でした


02牧羊犬


03黒やら白やら


04親子


05毛刈り後


06刈られた毛


07格闘


08