2008年12月号
にわにわにわ研
発行;庭しんぶん
庭プレス社
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081128 イギリス・仕事場としての庭 3
文・写真/ナガタ・ま(庭プレス)

 訪れたおもなところ

1、Borth ;前号参照

2、CAT ;前前号参照

3、Lammas Project ;前号参照

4、CaeMabon ;前号参照

5、Eden Project;写真

 http://www.edenproject.com/

6、Spitalfields City Farm;写真

 http://www.spitalfieldscityfarm.org/

エデン・プロジェクト
 Eden Project

 ラマス・プロジェクトを見たあとどこか宿を取ろうということになり、明日早朝ロンドンに向かうLilyクンが乗る電車の始発駅スワンジー(Swansea)の1時間ほど手前Carmarthenまで走って一泊。帰ると言っていたSさんたちもホテルのレセプションにただよってきた料理の匂いとビアグラスのがちゃがちゃ音にさそわれるように同宿。期せずして旅の打ち上げということに。

 もう一日使える日程をどうしようか迷ったが、かの有名なエデン・プロジェクトを見ておこうと決め、スワンジー経由ブリストル湾をぐるっと回り込みコンウォール半島を西端に向かって300キロほどを走る。「歩き方」のマップにも載っているくらいからだとたかをくくっていたのだけれど、じっさいは見逃すようなささやかな案内板と狭い道に翻弄されつつ到着。
 実はここでなくできればシューマッハ・カレッジの見学をと目論んだのだが、出張講義中とかでタイミングが良くなかった。

 Wikiなどの資料によれば...、
 エデン・プロジェクトはセント・オーステルから5キロメートルのところにある。もともと陶土(カオリナイト)の採掘地帯だった場所に位置。
 プロジェクトはティム・スミットによって考案され、建築家のニコラス・グリムショウと機械工学関連の企業アンソニー・ハント社によるデザイン、デイヴィス・ラングドンによるプロジェクトの運営、更にロバート・マクアルパインとアルフレッド・マクアルパインが建設に携わり、MERO(メロ・シュミドリン)社がバイオームのデザインと建築を行うなど、各々が役割を担った。
 プロジェクトは2年半の建設期間を要し、2001年春に一般公開された。
 採掘場があった場所の底には、透明の屋根で覆われた2つの「バイオーム」がある。
 ヒューミッド・トロピクス・バイオーム(熱帯の気候を模したバイオーム) は世界でも最も大きい温室の一つ。面積は1.6ヘクタール、高さ55メートル、幅100メートルで長さは200メートル。バナナの木やコーヒー、天然ゴム、巨大な竹など、熱帯に生息する植物用に気温や湿度を保っている。
 ウォーム・テンペラチャー・バイオーム(温暖な気温のバイオーム) は約0.7ヘクタール。35メートルの高さ、65メートルの幅、135メートルの長さ。比較的普通の温暖な気温を保ち、オリーブやブドウの木のようにやや乾燥した気候で育つ植物や、茶、ラベンダー、ホップや大麻など、世界にある温暖な気候の地域で生息する植物を生育。乾燥した熱帯を描く第三のバイオームも、将来に向け計画されている。
 バイオームは6角形・熱可塑性のETFEで作られた外部パネルと、管状の鉄製スペースフレーム(6角形と3角形の組み合わせ)を用いて建設された。当初からその重量と将来的な危険性のためガラスの使用は避けられた。おおわれているパネルは一枚ずつ外周が密閉されており、クッション状にするために膨張された透明なETFEの薄い膜が層になって造られている。結果として完成したパネルは、フレーム内部に対し保温用の毛布のような働きをしている。ETFEは、汚れは殆どの雨で流され、かつ強い。必要ならばロープなど使い上っての清掃も可能である。ETFEは傷の影響を受けやすいにもかかわらず、ETFEのテープにより簡単に修復が可能である。(※ETFEは旭硝子が開発した熱可塑性フッ素樹脂?)
 新しい建物「ザ・コア」は、2005年秋オープン。プロジェクトのメッセージの中核である、人と植物の関係を伝えるためにデザインされ、教育設備や講堂、展示スペースなどが設けられている。そのため建物も植物からの着想で設計されており、独特の形状をしている。
 エデン・プロジェクトには、植物と人類の相互依存に焦点を合わせた環境教育的な要素が多く含まれており、展示された植物には個々の薬学的効用について記されたラベルがつけられている。また、トイレに使用する水や、熱帯を模したトロピカル・バイオーム内の高温多湿な状態を作り出すために必要とされる大量の水は処理された雨水の利用がなされている。

 人気のない田舎の丘陵地にこつ然とエデンはあらわれる。夏の観光シーズンだからか混んでいた。レストランは満杯。訪れた人々にはアフリカ系・アジア系含めかなりの多様さが見られ、遠路(国外)はるばるという人も多いようだった。子どもたちの雰囲気が面白かった(これはCATでも感じた)。たいくつしてぼんやりしている輩をあまり見ない。ここは一種の教育機関であるにもかかわらず彼らの感覚に訴える展示やイベントの工夫が随所に見られ、それなりに楽しめるようなのだ。それにしても展示の理解にはある程度の努力を要する。見学者から上手にそれを引き出そうとする技量はなかなかスゴイ。
 建物について、「コア」は立派だが「バイオーム」ほどアグレッシブではない。別なデザイン・アプローチがあっただろうなという気がした。インフォメーションやショップが入る建物には屋根におおわれた長い版築(土のたたき)の壁がある。あれは雨水などにさらされたほうが魅力的だ。大屋根の下の壁は軽いものでじゅうぶん、というバランスにならないか。

 ※シューマッハ・カレッジ
 http://www.schumachercollege.org.uk/

スピタルフィールズ・シティファーム
 Spitalfields City Farm

 エデンで夕方になり50キロほど東のプリモス(Plymouth)で一泊。到着の一歩手前で急に海岸で道が消えてびっくり。なんと渡し船に乗っての市中入り。
 翌日車を返すヒースロー空港までまっすぐ走って300キロくらいか。風光明媚といわれるコッツウォルズなどでふらふらしながら夕方に空港着。翌日午前のフライトまでやや時間があるなと思い、空港近くの宿で一泊後、早朝の電車でシティへ。Sさんに携帯メールで教わったスピタルフィールズ・シティ・ファームをのぞきに行く。地下鉄が通勤時で混んでいる。時間が足りない。走って見に行く始末。ん?しかし開いていない!スタッフが来ていない、開門前!

 それは、シティのやや東側、地下鉄ホワイトチャペル駅から歩いて5分余りの小学校や幼稚園などが並ぶ生活道路沿いにあった。駅周辺はオープンマーケットが並び、さまざまな人種の人々が歩いていた。このシティファームには菜園(ビニルハウスも)の他、山羊、羊、豚、ロバ、鶏、兎などが希望者には触れられるようなスケールとスタイルで配されていた。高いネットフェンスで囲い込まれた様子はあまりいただける雰囲気ではなかったが、入口には地域の人々から持参してもらえるような堆肥の原料(厨芥)の置き場があった。

 “スピタルフィールズ・シティファームはロンドンの中心部から石を投げても届くようなところにあるコミュニティ・ファームです。 ここは都会のオアシスです。私たちは、地域のコミュニティのためにあるいは訪れるグループの方々に、教育的でおもしろい活動、技能トレーニングや動物とのふれ合い、あるいはボランティア活動を提供します。(HPより)”

 →http://www.spitalfieldscityfarm.org/

■■短い旅を終えて

 この時代、農的にと考える人々はまず耕せそうな“どこでも”をまず占拠する必要があるだろう。
 どこにでも種を播き家畜をつなぐということを、関心を持つ同類の人々とシェアしネットワーク化していくことが、自給の企てとして求められる。

 わたしたちはすでに難民である。漂流ははじまっている。だが、わたしたちの時代であると思われる。

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