2007年03月号
ニュース
発行;庭しんぶん
庭プレス社
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070331 ジョゼ・ボヴェ
/ナガタ・ま

 日本では今、統一地方選挙のさ中であるが、今日の庭プレスはフランス大統領選を少々お伝えする。
 私たちは大メディアと肩を並べるような形で、たとえば時局などというものは取り上げにくい。しかし社会を根本的に見直す動きには目を光らせたいと考える。そういうことで今回選挙に立候補しているジョゼ・ボヴェについてお伝えしたい。

 ご存知の方も多いと思うが、彼を世界的に有名にしたのは1999年8月に、フランス国内に進出しつつあったマクドナルドの一店舗(工事中だった)をぶっ壊したという荒技である。その直接的な理由は「ヨーロッパがアメリカ合衆国のホルモン肥育牛肉を輸入禁止した報復として、フランス産ロックフォール・チーズに制裁措置(関税)を行ったことへの抗議」であった。
 記者はその翌年フランスを訪れる機会があったが、その一周年イベントが開かれた日程にわずかにずれたため残念ながら取材を逃してしまった。参加した友人の話では会場になった小さな町が参加者で何倍かに膨れ、たいへん盛り上がったとのことであった。
 そのことに前後して、彼は参加する農民労働者組合全国同盟(CNSTP)の一員として、遺伝子組み換え作物に反対する運動・実力行使を行ったり(※)、反新自由主義の活動などを活発に(荒技的に=ラジカルに)展開している。アンチ・グローバリゼーションの旗手として収監されるボベの手錠姿の写真は世界の多くのメディアに掲載された。

 彼の農業者としての拠点は中央高地南側のラルザック地方。フランスの中では「ど」田舎である。車で移動するとゆっくりしたアップダウンのさなかに雄大な丘陵地帯が展開する。中央高地一帯というのは、聞くところによれば第二次世界大戦中のレジスタンスがいちばん激しかったところだといわれている。それが今や風土化しているのかもしれないというのが彼の動きを見ていての印象である。

 ジョゼ・ボヴェの最近の動きについて取り上げている日本のサイトは少ない。強いて言えば、
Wikipedia;
http://ja.wikipedia.org/wiki/
で、関心のある方は「ジョゼ・ボヴェ」で検索されたい。今回の選挙についても解説が試みられている。
 現在合計12人が選挙戦の渦中にあるが、本命はサルコジ内相かロワイヤル元環境相かと取りざたされる中で、ジョゼ・ボヴェのユニークな位置に注目し期待を抱いている人々がフランス国内やヨーロッパのみならず世界中に多くいると思われる。4月22日投票の結果に注目したい。

(※印)http://www.la-vache-folle.com/
から「Jouez」を入ると「楽しみながら」遺伝子組み換えトウモロコシを刈ることができる。(挿し絵はこのサイトからの引用である。)

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