林間学校みたいな連続講座に加えて50〜80人のパーティが数回あったり、8月はにぎやかなトンネル山。後半それをしめくくるように最近知り合った楽士たちが練習と称してやってきました。しっとりとした雨の中。彼女らが演る“ミュゼット”っていままで縁が薄かったのだけれど、時折うねるような身体の動きをそそる展開がすぐ好きになりました。
“ミュゼット”はもともとはバグパイプみたいな楽器(キャブレットの俗称)でフランス中央高地オーベルニュ産。300年前くらいに貴族たちがこれで牧歌的なダンスなんぞしていたらしい。近年パリに移動したオーベルニュの人たちがカフェを経営しそこで週末になるとこの音楽でダンス(BAL=舞踏会)をはじめたとのこと。その後すぐにイタリアからの移民がアコーディオンでキャブレットのパートを引き継ぎ、ジプシーのギターなどがミックスされ、それをもって今のミュゼットの基本形とするのだそうです。
カフェでダンスっていいなって映画「interMission/邦題・ダブリン上等」見て思いました。若い衆がおばさんをゲットしにいくあやしいシーンですが、酒があれば音楽があり身体も動かせば“たが”が外れて高みに立つのと違う視界が開ける(こともある)と、言い訳じゃなく。課題はそのはずれた“たが”が街に流れ出ていくかどうかですけれど。
美しくおいしいオーベルニュ。チーズも(薪窯の)パンもこの地域にインスパイアされるものがぼくには多かった。パリの人に言わせればビンボーど田舎。山あり谷ありで農的生産性は高くないのでしょう。でも独特の気風は育つ。ピレネーとかバスクとかの人々の気概と共通するものを行ったときに感じました。ナチスへのレジスタンスがいちばん激しかった地域とも聞きますし。
山の“山城性”ってものがありましょう。他と少し距離を置いて独自に守るべきものを育てる、というような。
正直に科学者であろうとしたら因習と対立せねばならなくなったガリレオみたいなもんか、と映画「Kinsey/邦題・愛についてのキンゼイ・レポート」。確かに、科学者という商売をやっていなくとも科学の視点(教養?)は大事ですよね...。
山城でぜひ科学的展開をと思います。
