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070430 ホーム・ワーク・イントロダクション
具体的にモノのありよう(の変更)をもって社会にカンケイして行こうとする姿勢が染みついている原因は、学生時代から関わった「たまごの会」の農場自力建設であったと自覚する。今でもどうしようかと立ち止まったとき、アタマをよぎるのは30年以上も前、あのときのいくつかのエピソードである。 *** 1973年夏にボブ・イーストンと私は「シェルター」誌を著した。それは世界中の建物やそれを作る人々を、歴史を遡ったものも含め取り上げ、1000枚以上の写真と250以上の図版とともに構成したものだった。それは主に自分自身のために作られたものを取り上げ、有用でエコロジカル、そしてアーティスティックなものであった。それはまさに自分で住まいを作りあげている人々であり、他のどこにも見られないような形の建物を多く含んでいた。その本がかもし出しているのは、どちらかというと反体制的な、アンダーグラウンド的な住まいの雰囲気であった。出版後約25万部が売れ、今も再販が行われている。 「シェルター」から30年、私たちの出版社はいろいろなプロジェクトを行ってきたが、私自身は建物に関心があった。どこに行ってもその写真を撮り、作っている人々にインタビューをし、資料やデータを集めてきた。「ホーム・ワーク」は結果的にこの30年間に私が見つけてきたものの一覧であり「シェルター」の続編ということになる。またそれとは別な意味で続編と言えると思う。それは住まいを手に入れるにあたって「シェルター」誌に鼓舞され、直接作ることに手を染める中で人生がねじれたように変わってしまった多くの人々が登場するからだ。何年もの間、驚くほどの人々が「建物をこしらえようとしたときにこの本が自分たちを奮い立たせた」と私たちに伝えてきた。実際に手がけるという勇気を、本は彼らに与えたわけだ。 ・優れたクラフトマンシップが表現されていること 「ホーム・ワーク」は地理上の包括的なものではない。どちらというとアメリカ西海岸にウエイトが置かれている。そこに私たち自身が住んでいるからだ。また、すべての作り手、建築の技術、あるいは材料といったものをカバーするものではない。そして都市というよりもカントリーである。私たちはなんでもかんでもを集めようとしたわけではない。どちらというとそれは私がこの何年かの間に出会った、ほとんどを自分たちの手で作った一連の建物ということができる。 ”あんた自身が震わせることに手を出すまで、あんたは何が震えているか知らない” あなたが住まいを建設することができない場合にはどうなるのか?、別な切り札はある。あなたはあなた自身のアイデア(そして精神)を発揮して、アパートメントの改造(あるいは改装)を行い、スタジオや納屋、ツリーハウス、作業場、温室、サウナ、家具などといったものをこしらえることができる。自分の手と体を使って。 * この本をまとめるにあたって総合的な計画(マスタープラン)といったものを私たちは持たなかった。すさまじい量の資料〜写真やインタビュー、文章〜はあったが、最終的な形をどうするかについての方針がなかったわけである。それでも私たちは編集をスタートさせ、一度に1ページをまとめていくというようなことをした。そうやって進めていったとき、途中から本はその形を自ずから現したようだった。資料は入り続け、本の形は変わっていった。約一年後そういった一連の有機的なプロセスを経、「ホーム・ワーク」はでき上がった。 ほら!、これがやつらのしでかしたことだよ! * 親愛なる読者諸君、私たちと連携しようではありませんか。もうひとつのシェルターの旅を通じて〜それは、作り手たちの・夢想家たちの・そして人間的な魂を持った選りすぐりの実践家たちが登場するこのスクラップブックの中にあるこの30年間におけるややレトロな冒険旅行(オデッセイ)とでもいうものですが。 シェルターというものは頭上の屋根以上のものである。 * Home Work : handbuilt housing / by Lloyd Kahn |
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