2007年03月号 /
USOニュース
発行;庭しんぶん
庭プレス社
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070328 「グラウンドに豚!」
/ナガタ・ま
 大都市における中心部の居住人口減に伴う小中学校の統廃合は全国的なものだが、その学校跡地のユニークな利用計画がS市で始まった。その中でとりわけグラウンドの緑化手法が注目を集めている。
 これまで樹木を植えるなどして公園にした例は各地に散見されるが、ここでは菜園、つまり「畑」にするというものである。学校であった時期に運動場という目的に沿ってそこは草などが生えないよう踏み固められ管理されてきたが、そこを畑に変えるのは大型の機械でも導入しなければ容易ではないと思われた。そこに登場したのが豚である。豚は伝統的に土を掘り返すことを好み、その場所は結果的に良好な畑になるはずだ、というわけである。

 この提案を行い実行を担うことになった市民グループは、都市経営の新しいモデルとしてその普及・波及を目指しているとのことである。その主張は、都市の緑というものが暮らしに縁遠い飾り物になりがちだったのを「農」を取り込むことによって身近な存在に転換すること、そのことによって都市の運営を住民の自主性が強いものに変えるチャンスにするというものである。
 旧校舎の一部は保育園と高齢者を中心としたデイケアの機能がミックスされた、これも市民グループの運営による施設として活用されており、その利用者にはこの畑での生産に関わるプログラムが用意されている。畑の生産物はこの施設で給食などに使われており、出た残飯はなんと豚の餌に回されている。
 当初豚を飼うことには相当な異論があったらしいが、まず3匹で実験的にという方針を関係者が了解し合うことになり、現在5ヶ月目に入っている。柵で囲まれた放牧場に立ってみて、懸念されていた匂いは少なくとも記者には気にならなかった。大量に投入された公園の落ち葉に糞尿が混じって良好な堆肥になるとの目論みが今のところ成功しているようである。
 そしてなによりこの都心の豚は「カワイイ豚ちゃん」として施設利用者だけでなく付近の会社員などに大人気のようである。彼らは口々に「ここに来るとほっとする。」などと言う。

 この試みの直近に迫った課題は育った豚を食するのかどうかということであるが、案外それは知られていない。いや、知りたくないのだろうか!?

※フィクションです

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